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イベント詳細
第41回 F.I.H.ハーモニカコンテスト 結果発表
- 開催日
- 2023年6月3日(土)
- 会場
- 御茶ノ水 全電通ホール
- 部門
- クロマチックハーモニカ・ソロ/クラシック
複音ハーモニカ・ソロ
クロマチックハーモニカ・ソロ/ジャズ&ポップス
デュオ/トリオ
- 審査員(敬称略)
- 和谷 泰扶 徳永 延生 崎元 讓
美野 春樹 水野 隆元 寺澤 ひろみ
- ゲスト(敬称略)
- 錦織 のり子(第40回FIH ハーモニカコンテスト/グランプリ受賞)
KOH(第13回アジア太平洋ハーモニカフェスティバル/公開組 10穴ソロ 第2位)
第41回 決勝ライブ
グランプリ
- 安田 薫 クロマチックハーモニカ・ソロ/クラシック部門
複音ハーモニカ・ソロ部門(出場者7名)
- 第1位 田中 恭枝 ユモレスクとスワニー河/作曲者:ヴォルザーク・フォスター
- 第2位 藤原 尊子 『青葉の笛』幻想曲/作曲者:田村 虎蔵
- 第3位 寺澤 美智栄 マリア・マリ/作曲者:E.カプア
クロマチックハーモニカ・ソロ/ジャズ&ポップス部門(出場者7名)
- 第1位 山﨑 妙子 マスカレード/作曲者:レオン・ラッセル
- 第2位 熊谷 みら EVERYTHING/作曲者:冨田 恵一
- 第3位 三浦 正順 Tango pour Claude/作曲者:Richard Galliano
クロマチックハーモニカ・ソロ/クラシック部門(出場者6名)
- 第1位 安田 薫 雅/作曲者:徳永 延生
- 第2位 内山 るみ ピクチャーズ・オブ・ア・ウーマン/作曲者:ピート・ペダーソン
- 第3位 ちょうさく Zigeunerweisen, Op. 20/作曲者:Pablo de Sarasate
デュオ/トリオ部門(出場者6組)
- 第1位 ヴェキアス(小林 希久子・岸本 彩) アイノカタチ/作曲者:GReeeeN
- 第2位 やまもっちー(望岡 季世彦・山﨑 妙子) ハングリースパイダー/作曲者:槇原 敬之
- 第3位 SHURA(山﨑 朱音・熊谷 みら) 青春の日々/作曲者:徳永 延生
審査員講評
クロマチックハーモニカ・ソロ/クラシック部門
- 崎元 讓
- 録音での予選審査から演奏も良く順位決めるのに難しい状況でした。年々演奏水準が上がっています。
- 本選出場者の方、とても良かったと思います。選曲もクロマチックハーモニカのための作曲された作品が大半でした。接戦でした。
- 入賞者の方もこの結果に満足することなく練習を続けて感動させる演奏をするように心がけてください。
- 和谷 泰扶
- 大雨や台風接近のために予定の時間が変更され、出演者の方々はコンディションを整えることにも気を使われたことでしょう。
- クロマチックハーモニカ・ソロ/クラシック部門は海外での国際コンテストに基づき、昨年からマイクの使用を取り止めています。
- 審査のポイントとしては音量を含めた音質や音色、技術、フレージングやダイナミック、緩急などをはじめとするアーティキュレーションや音楽性などが評価されます。まずはしっかりと音を出しましょう。呼吸法も大切ですね。
- 難しい曲にチャレンジされることは良いのですが、余裕の無い演奏にならないように注意しましょう。そして魅力ある音楽を奏でましょう。
複音ハーモニカ・ソロ部門
- 水野 隆元
- 複音ハーモニカの開祖とも言える佐藤秀廊先生の楽曲は、できるだけ少ない本数で楽に奏することが可能な中で、音楽の楽しみを最大限味わえる工夫がなされています。その目的のために、楽曲の持つ本来の和声機能を(十分に理解した上で)犠牲にしていることは周知の事実です。しかしながらこれは奏する側の視点であり、聴く側にとっては関係のないことと言えます。
- 複音ハーモニカの愛奏者の社交場ではこのような「言い訳」が暗黙の了解となるわけですが、一般の音楽界ではそれは通用しません。
- FIHのコンテストもまた、楽器の種別や音楽のジャンルを超えたイベントである以上、複音ハーモニカの色眼鏡を外し、真に音楽を聴く者としての立場から演奏を考えるべきでしょう。
- このコンテストはプロへの登竜門としての側面がありますので、コンテスタントの皆さんは卓越した楽器演奏能力と、音楽への深い理解が求められています。どのような楽曲をもってコンテストに臨むのか、この極めて重要な命題に真摯に向き合っていただけたらと思います。
- 寺澤 ひろみ
- 台風の影響でイレギュラーな開催となりましたが、皆さま長時間にわたりお疲れ様でした。
- 近年は女性の活躍が目覚ましく「ハーモニカは女の吹くものではない」と言われていた時代に道を切り開いてくださった、故・林淑子先生がご覧になったら、どれほど喜ばれることだろうと嬉しく思っています。
- 全般的に申し上げたいのは、このレベルになると自分の技量を上げることに熱中するあまり視野が狭くなりがちなので、ハーモニカだけでなくあらゆるジャンルの一流の音楽を聴き、上質な芸術に触れて刺激を受け、ご自分の感性を磨いていただきたいということです。
- かつて私はトゥーツ・シールマンスに「どうしたらあなたのように吹けるようになりますか?」と尋ねたことがあります。すると彼は「ハーモニカ以外の楽器も演奏すること。いろいろなものを見、聴き、たくさん感動すること」と教えてくれました。
- どうぞ感動のシャワーを浴びてご自分の感性を豊かにし、演奏の幅を広げていただきたいと思います。
- 複音部門に関しては、大変心苦しいですが、近年でもっとも残念な回でした。
- 最低限、音や拍節を正確に奏するようにしましょう。譜面をよく読み、解釈を深めましょう。カデンツァやルバートはその後の話で、上記のことができていればおのずと答えは導かれます。その曲を自分のものにできていれば、あがってミスをするということも少ないでしょう。
- 今回入賞なさった方にはぜひ、一層の精進をお願いしたいものです。
クロマチックハーモニカ・ソロ/ジャズ&ポップス部門
- 徳永 延生
- 今回の大会は前日から当日にかけて台風や梅雨前線、線状降水帯などの影響で新幹線の運行見合わせなどがあり、私も含めて多くの方が大変な思いをされ会場に来られたことと思います。本当にお疲れ様でした。
- ジャズ&ポップス部門は、全国から35名の予選を勝ち抜いた11名の精鋭の皆さんの熱い戦いが繰り広げられました。年々レベルはアップしており決勝に残るだけで本当にすごいことだと思います。
- アップテンポの曲あり、バラードあり、ジャズありポップスあり、多彩な曲の数々皆さんそれぞれに個性のある音、リズム感、曲へのアプローチの仕方が凄いと思いました。アドリブもレベルが高く、今後がますます楽しみです。
- 次回も大いに期待しています。
- 美野 春樹
- 昨年同様、今年も出場者の皆様方のレベルが上がり、順位を決めるのに大変苦労いたしました。しかし、これはこれでとても素晴らしいことでもあります。
- 3位の三浦さんは丁寧な吹き吸いでなめらかな演奏、2位の熊谷さんは表現力に満ちていました。1位の山﨑さんは堂々とした安定感が素晴らしかったです。それから特に思ったことは、中尾さんだけがご自分のフレーズのアドリブで演奏されたのは印象的でした。これからもさらに研鑽を積んでいただきたいです。
- アドリブというものはいろいろな意味で奥が深いです。私も何十年も前からライブやレコーディングで演奏してきましたが、納得のいく完成品は今だに出来上がっていません。
- – そのほかに思ったこと –
- 複音部門について、水野さんと話し合ったことなのですが、やはり重音を使う際、どうしても問題が起きる現実をこれからどうやって改善したら良いのか、考えていかなければならないと意見が一致しました。(間違った和音や対旋律が発生している)
グランプリ
- 崎元 讓
- 今回も各部門(クロマチックハーモニカ・ソロ/クラシック、複音ハーモニカ・ソロ、クロマチックハーモニカ・ソロ/ジャズ&ポップス、デュオ/トリオ)の第1位入賞の方を、当日審査員6名での無記名投票で選出しました。
- 今回も票は割れましたが、クロマチックハーモニカ・ソロ/クラシック部門の方が選ばれました。入賞者の方には今後も練習を続けて活躍される様期待しています。